みなさまお元気ですか。タカアキです。全国的には35度を超える地域が出始めているようですね。ところが、北海道の地元ではまだ肌寒い時があります。ストーブを焚く日さえあるほどです。さて本題ですが、最近のPCサポート対応で、特に大変だった事例を通して、レポートいたします。多少長文になると思います。
トラブルの始まり
そのトラブルの始まりは、PCの起動不良でした。Windows起動の際に、ブルー・スクリーンが出てキーボード選択の画面となってしまいます。その後、操作を進めていってもWindowsが起動しないのです。BIOS(UEFI)から何とか起動できたものの、正常起動できない時があり、不安定が解消されません。やがて、現場と弊社を何度か往復して対応する中で気づきました。やっとの思いで手に入れた手がかりでした。
電源スイッチを入れて、PCを起動する際には、非常に複雑な処理の手順(シーケンス)を経て、Windowsが立ち上がります。これを、オペレーティング・システムの「起動シーケンス」と呼びます。パソコンでは他の電化製品のように、安易に電源スイッチのオン/オフを繰り返してはいけないとか、途中でコンセントを抜いてオフにするのは厳禁とされている理由が、この起動シーケンスがあるためなのです。次の動画にその概要がよくまとまっています。
起動シーケンスの詳細
起動シーケンスは大要、次の手順で処理が進行していきます。
Step1:ユーザーが、PC本体の電源を入れる。
Step2:UEFI BIOS 起動
UEFI BIOSとは、マザーボードに記録されている、電源を入れたら最初に起動するプログラムです。読みはそのまま UEFI BIOS(ユーイーエフアイ・バイオス)となります。
Windowsを起動するときのUEFI BIOSの役割は大きく2つあって、1つはPC内部のハードウェアが正しく取り付けられているかチェックすること、もう1つは起動デバイスを設定することです。
1. POST パワーオンセルフテスト(正しく取り付けられていないと音で知らせます)
2. 起動デバイスを設定。
Windows10 をクリーンインストールしたとき、EFIシステムパーティションという区画が自動的に作られて、このなかにある Windows Boot Maneger(実体は\EFI\Microsoft\Boot\bootmgfw.efi)を UEFI BIOS が見つけて起動します。
Step3:ブートマネージャー と ブートローダー
ブートマネージャーの役割は、OSが複数インストールされているとき、どのOSを起動するか選択画面を表示することです。Windows Boot Manager は選択された Windows のブートローダー(Winload.efi)を読み込んでOSを起動します。
Step4:カーネルが起動
カーネルの起動に必要な最低限のドライバが読み込まれた後に、カーネル(ntoskrnl.exe)が起動します。
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- 各種デバイスの初期化。
- ブートに必要なレジストリの読み込み。
- ブートに必要なドライバの読み込み。
- セッション マネージャー プロセス(Smss.exe)に制御を渡す。
Step5:セッション マネージャー(Smss.exe)起動
たくさんのプロセスが動き始めます。
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- 各種セッションの初期化。
- 残りのレジストリの読み込み。
- 残りのドライバの読み込み。
- ログオン処理(winlogon.exe)に移行。
Step6 : ログオン画面(winlogon.exe)の処理
おなじみのログオン画面(LogonUI.exe)を表示。
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- ユーザー認証
・ユーザー名とパスワードの入力を受け付ける。
・入力された情報は LSASS(ローカルセキュリティ認証サブシステムサーバー、lsass.exe)に渡され、ローカルアカウントなら「SAM(Security Authentication Manager)」、ドメインアカウントなら Active Directory のドメインコントローラーから取得したユーザー情報と照合して、正しいログオン情報であるかどうか検証される。 - 認証されたらユーザーログオンアプリケーション(Userinit.exe)を起動。
- ユーザー認証
Step7:デスクトップ表示
ログインユーザーのセッション作成。(Userinit.exe)
・Explorer.exe が起動。
・ユーザー固有(HKCU)のレジストリ読み込み。
・ログオンスクリプト、スタートアッププログラム実行。
・デスクトップの表示。

Windows11ロゴ画像
POST パワーオンセルフテスト
結局、今回対応したトラブルの原因は、外部機器の故障によるものでした。USB接続していた機器の故障により、Windowsの起動の方に問題が及んでいたという訳なのです。
その理由が、ちょうど上記の起動シーケンスStep2 において実行された、「POST」 電源投入時診断によりエラーが出ていたためなのです。では、POST電源投入時診断をさらに深掘りしてみましょう。
POSTは、パソコンの電源ボタンを押してからわずか数秒の間に、以下のステップを厳密な順序で実行しています。
1. 起動のタイムラインと詳細な処理手順
電源ユニットからマザーボードへ電力が供給されると、CPUが起動し、自動的にPOSTが始まります。
ステップ1:CPUのセルフテスト
CPUが自身の内部レジスタ(データを一時記録する場所)やキャッシュメモリが正常に機能しているか、内蔵のプログラムでセルフチェックします。
ステップ2:ファームウェア(BIOS/UEFI)のコードチェック
マザーボード上のROM(読み出し専用メモリ)に書き込まれているBIOS/UEFIのプログラム自体が破損していないか、データ整合性(チェックサム)を確認します。
ステップ3:システムタイマーとCMOSの確認
マザーボードの時計機能(RTC)や、設定情報を保存しているCMOSメモリ(電池で駆動している部分)のデータが正しいか検証します。
ステップ4:メインメモリ(RAM)の容量と整合性テスト
装着されているメモリにデータを実際に書き込み、それを瞬時に読み出すことで、不良セクタ(故障箇所)がないかテストします。
ステップ5:ビデオカード(GPU)の初期化
画面出力を担当するグラフィック機能を起動します。これが成功した時点で、初めてモニターにロゴマークや文字(「Press DEL to enter SETUP」など)が表示されます。
ステップ6:入出力デバイス(I/O)の検出
キーボード、マウス、USBポート、ネットワーク(LAN)チップなどのコントローラーを起動し、応答があるか確認します。
ステップ7:ストレージ(SSD/HDD)の確認
OSがインストールされているドライブ(M.2 SSD、SATA SSD、HDD)や、光学ドライブをスキャンして認識します。
2. POST終了後の動き(OSへのバトンタッチ)
すべてのハードウェアに問題がないと判断されると、POSTは終了します。続いて、BIOS/UEFIは、ストレージの先頭にある起動用プログラム(ブートセクターやEFIシステムパーティション)を探し出し、WindowsやMacなどのOSにシステムの制御権を渡します(ブート処理)。
3. POSTエラー(トラブル)発生時の詳細な見分け方
POST中に異常を検知した場合、システムは安全のために起動を強制停止(フリーズ)します。原因を特定するための3つの手がかりがあります。
① ビープコード(音)
マザーボードにスピーカーが接続されている場合、音のパターンで原因が分かります。
(※メーカーにより意味が異なりますが、代表的な例を挙げます)
- 短音が1回(ピッ): POST成功(正常終了)。
- 長音が1回、短音が2〜3回: ビデオカードの未挿入、または故障。
- 短音が連続で何度も鳴る: メモリの接触不良、または故障。
- 音が全く鳴らずファンだけが回る: CPUの故障、または電源ユニットの出力不足。
② Q-LED(基盤上のランプ)
最近の自作PC用マザーボードやゲーミングPCには、基盤の端に「CPU」「DRAM」「VGA」「BOOT」と書かれた4つの小さなLEDランプがついています。POSTが途中で止まると、原因となっているパーツのランプが点灯したままになります。
【例】「DRAM」が光って止まる →メモリを挿し直す必要がある
③ POSTコード(2桁の英数字)
高級なマザーボードには、7セグメントディスプレイ(数字が表示される小さな画面)が搭載されています。POSTの進行状況に合わせて「00」から「FF」まで高速で数字が変化し、エラーで止まった瞬間の2桁のコード(例: 55=メモリ未検出など)をマニュアルで調べることで、ピンポイントで原因を特定できます。
今回のケースでは、上記POSテストのステップ6または7において、エラーが発生し、Windowsが正常に起動しなかったと考えられます。起動トラブル時には、全ての外部機器を一旦 外すように指示される意味が、ここにあったのです。以上、現場対応のレポートでした。
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